自己破産の条件| 債務の清算と免責をするために必要なことと注意点とは
個人の方が自己破産するには、現在の財産・債権債務を清算し、残った債務について免責してもらう必要があります。
そのためにはいくつか守らないといけないことがあり、条件に反する行為があると自己破産ができなくなってしまいますので注意しましょう。
「破産手続開始決定」と「免責許可決定」が必要
自己破産をするには、地方裁判所に破産手続の申立をしないといけません。この破産手続が認められると裁判所が「破産手続開始決定」を出し、債務者の財産を処分して債権者に配当していくための手続が始まります。
※配当するだけの財産がないときは破産手続開始決定と同時にそのまま手続が廃止される。
債務超過となって自己破産を選択したとき、配当をしても債務が残ると思われます。
しかし破産手続を進めるだけで残債務は消滅せず、別途裁判所から「免責許可決定」を受ける必要があるのです。
そのための手続が免責手続で、通常は破産手続と同時に申立が行われます。
そして、無事免責許可決定まで受けることができれば自己破産が完了します。
破産手続開始決定に必要なこと
破産手続開始決定を受けるには、適切に申立を行うことに加え「支払不能」の状態になっていること、そして破産費用が支払えることも必要です。
申立をするには破産申立書の提出が必要で、他にも債権者一覧表や財産目録、家計収支表などの資料も準備しないといけません。
特に債権者一覧表の作成が重要です。ここへの記載が漏れた債権者に対する債務が免責されなくなってしまいます。
また、ここでの「支払不能」に該当するには、弁済期の過ぎた債務について継続的に弁済できないことが求められます。
そのため余力がある状態での破産は想定されていませんし、一時的に支払えないだけで破産をすべきでもありません。
引継予納金が支払えないと手続が進まない
破産費用の支払いも必要ですが、申立手数料は破産手続と免責手続合わせても1,500円(収入印紙で支払い)です。
郵便切手代や官報公告費用も必要ですが、これらを合わせても2万円程度です。
問題となるのは「引継予納金」です。破産者の財産を管理し、換価処分し、債権者に配当をしていくという仕事を破産管財人が受けることになりますので、その報酬分として費用が発生します。金額は仕事量に応じて変動するため、債務の総額や債権者数によって大きく異なり、50万円かかることもあれば100万円を超えることもあります。
ただ、個人の方がする自己破産だと破産管財人が選任されずすぐに手続が廃止されるケースも多く、この場合は2,30万円ほどの予納金で済むこともあります。
なお、この費用が支払えないときは自己破産できませんので、最低限の資金が残っているうちに自己破産を始めるようにしましょう。
免責許可決定に必要なこと
免責許可決定は、不許可とすべき理由がなければ基本的に問題ありません。
しかし法定の免責不許可事由に該当するときは免責してもらえないリスクが高くなりますので注意しましょう。
例えば次に挙げる行為が免責不許可事由に該当します。
- 財産を処分されないように隠した
※生活必需品や最低限の預金は残してもらえる。 - 特定の債権者にこっそり返済をした
※債務者との個人的な関係性にかかわらず、債権者は平等に扱わなければならない。 - 裁判官や破産管財人等に嘘をついた
※破産者には破産手続に協力する義務があるため、これに反する行為をしてはならない。 - すこし前にも免責された実績がある
※「7年以内に免責許可決定を受けた」という実績が免責不許可事由に該当する。
その他の免責不許可事由についても、破産法第252条(免責許可の決定の要件等)にて列挙されています。
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000075
非免責債権に注意
免責が許可される場面においても、いくつか免責ができないものがあります。非免責債権と呼ばれるもので、「租税公課に関する債権」「罰金や追徴金の請求権」「不法行為に基づく損害賠償請求権のうち、害意があったものや、故意または重過失で身体に危害が加えられたもの」「養育費の請求権」「未払い給与の請求権」などがこれに該当します。
また、上述の通り債権者名簿に記載しなかった債権者が持つ債権についても非免責債権となりますので注意しましょう。
詳しくは破産法の第253条(免責許可の決定の効力等)で列挙されています。
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000075
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弁護士紹介
Lawyer Daichi Sakuma
代表弁護士佐久間 大地
紛争は人と人との間で起こります。それは法人間の紛争であっても同じです。そして、人には感情があり、立場があります。 紛争解決、説得の1つのツールとして、法律という理屈を駆使することはもちろんですが、常に、人の感情、立場に配慮した業務を行うよう精進しております。
詐欺被害救済といえば「大地総合法律事務所」と認知していただけるよう、所員一同、プロフェッショナル集団として、常に研鑽を積んで参ります。
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- 所属
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第一東京弁護士会(登録番号55138)
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- 経歴
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新潟県新潟市生まれ
新潟県立新潟高等学校卒業
中央大学法学部政治学科卒業
中央大学法科大学院修了
司法研修所入所
都内法律事務所勤務
大地総合法律事務所を開業
Lawyer Minakoshi Ishin
弁護士南越 維心
法曹は法律のプロフェッショナルであると同時に、人助けのプロフェッショナルたるべきである、というのが私の信条です。
トラブルに巻き込まれ、辛い日々を送っている人々を一人でも多く救済できるよう、精進してまいります。
よろしくお願い申し上げます。
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- 所属
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第一東京弁護士会(登録番号63548)
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- 経歴
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大阪府出身
同志社大学法学部法律学科卒業
卒業後は貿易会社で通訳業(ベトナム語)などを行う
大阪市立大学法科大学院修了
大地総合法律事務所入所
Lawyer Miura Yuu
弁護士三浦 悠
相手方のいる法的紛争は先が予想しにくく、心情的にも不安や負担が大きくなりがちです。
法律のプロとして法的解決に尽力するのはもちろんのこと、少しでも心の不安や負担を軽くできるよう、一人の人として依頼者様に寄り添える法律家でありたいと思っております。
何卒宜しくお願い申し上げます。
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- 所属
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東京弁護士会(登録番号60457)
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- 経歴
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秋田県生まれ
中央大学法学部法律学科卒業
中央大学法科大学院修了
都内大手芸能事務所で企業内弁護士としての勤務を経て、大地総合法律事務所入所
Lawyer Sakamoto Ryosuke
弁護士坂本 亮介
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- 所属
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第一東京弁護士会(登録番号63558)
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- 経歴
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福岡県糸島市生まれ
近畿大学法学部法律学科卒業
同志社大学法科大学院修了
都内大手法律事務所勤務を経て、大地総合法律事務所入所
Lawyer Yasuda Takashi
弁護士保多 崇志
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東京弁護士会(登録番号60303)
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- 経歴
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早稲田大学法学部卒業
成蹊大学法科大学院修了
法政大学法科大学院修了
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