特定調停とは?他の債務整理との違いや手続方法について解説
借金が膨らみ、返済を続けていくのが困難になったときは、債務整理も検討しましょう。
債権者との交渉、あるいは裁判所とのやり取りを通じて生活の立て直しを図ることができます。
任意整理や個人再生などいくつかの手段があり、そのうちの1つには「特定調停」というものがあります。
あまり馴染みのない手続だと思われますが、ここで手続のイメージが掴めるように特徴や解決までの流れを解説していきます。
特定調停とは
特定調停は、「特定債務者」の金銭債務について調整を行うことで、経済的再生を目指す公的手続のことです。
※手続の利用者として想定されている「特定債務者」とは、債務の返済ができないおそれのある債務者を指す。
調停自体はさまざまな用途で利用されており、例えば離婚調停などが挙げられます。
特定調停も基本的には通常の調停と同じで、[債権者-債務者]間の合意を最終目標としています。
ただ、多重債務のトラブルを解決するためには一般的な調停だと上手くいかないことが多く、債務者の経済的再生を図ることに特化した特定調停という仕組みが特別に設けられているのです。
特定調停の特徴
特定調停と他の債務整理を比べたときの特徴を以下にまとめます。
- 申立手続が簡単で自分でもできる
個人再生や自己破産ほど厳格ではない。 - 申立費用の負担が小さい
債権者数に対応する「収入印紙代(500円)+郵便切手代(数百円)」が主な費用であり、他の手続より安く済むことが多い。 - 利息の免除・軽減を目指す
元本を大幅にカットするというより、利息の免除や軽減による再建を図る。 - 調停委員が債権者との間に入ってくれる
任意整理だと消費者金融などと直接交渉することになり、交渉力の差が結果に響いてしまうが、調停委員が意見を取りまとめてくれるため極端に不利な結果にはなりにくい。 - 債務整理をしていることが周囲にバレない
裁判のように公開されることなく、非公開で手続を進められる。
特定調停の手続
特定調停を利用する場合は、次のような流れで手続が進行していきます。
- 簡易裁判所へ申し立てをする
- 「事情聴取期日」にて状況を説明する
- 「調整期日」で条件をすり合わせ
- 調停の成立・不成立
複数回裁判所に出頭して調整を行うことが予想されますが、終了するまでの期間は2ヶ月程度と債務整理手続の中でも比較的短期で終わらせられる傾向にあります。
簡易裁判所へ申し立てをする
まずは下記必要書類を準備して、簡易裁判所に申し立てを行いましょう。
申立先は、地方裁判所や家庭裁判所でもなく簡易裁判所です。全国に簡易裁判所が設置されていますが、債権者の住所や営業所などの所在地を管轄としている簡易裁判所に対して申し立てをしましょう。申し立てを行うと裁判所が債権者に対して「申立書の副本」「申立受理通知」等を送ってくれますので、別途債務者から債権者に対して通知をする必要はありません。
特定調停で準備すべき必要書類は次の通りです。
特定調停申立書 | 相手方ごとに2部ずつ(正本・副本)作成する。記入すべきは大きく次の3点。 ①申立人情報:住所、氏名、生年月日、電話番号など。 ②債権者情報:住所、氏名、代表者、電話番号などを登記されている内容とずれのないように記載する。 ③紛争の争点:借入金や保証などの種類、契約日や債務額など。 |
---|---|
特定債務者に関する資料 | 申立人の職業や勤続期間、月収、給料日、ボーナスに関する情報、資産・負債の状況、家族の月収などを記入していく。 また、返済が難しい事情や毎月の返済額についての希望なども記入する。 |
関係権利者一覧表 | 特定調停の相手方とする債権者とそうでない債権者すべてを一覧表に記載していく。債権者名や住所、債務の金額などをまとめていく。 |
※個人による申し立ての場合
その他裁判所から必要といわれた書類については取得あるいは作成する必要があります。
なお債権者数に対応して定まる手数料も申し立て時に納めましょう。
債権者1人あたり収入印紙代500円と、数百円程度の郵便切手代が必要です。
「事情聴取期日」にて状況を説明する
申し立てが認められると、まずは「事情聴取期日」が開かれます。この期日において出頭するのは債務者だけです。
裁判所に行き、現状を詳細に伝えて、今後の方針についてのあらかたを決めていきます。
手続について気になることがあればこの場で質問しておくと良いです。
「調整期日」で条件をすり合わせ
次に、「調整期日」にて実際に条件のすり合わせを始めます。
債権者も出頭し、債務額の圧縮や返済期日の猶予、返済の方法など、和解案を模索します。
このときの話し合いでは、債権者と対面せずに調整を進めることも可能です。相手方は出頭していなくても電話等により手続を進められます。
なお特定調停は債務者である個人でも利用しやすい手続ですが、調停委員や裁判所が味方になってくれるわけではありません。
あくまで中立の立場で和解を目指すことになりますので、債務者側の言い分を一方的に押し付けることもできません。
双方の利害を調整しながら良い着地点を探すことになります。
調停の成立・不成立
調整を行い双方の納得いく結論が出せたときは、調整が成立し、手続は終結となります。
調停は当事者の合意がなければ成立させることができず、この点において裁判とは性質が異なるといえます。
しかし合意が成立して調停調書が作成されると裁判で判決を受けたのと同じ効力が得られます。
そのため、調停とはいえ後になって「やっぱり納得できない」といっても取り消すことは原則できません。
また、調停が成立しても自己破産のように債務者は債務から解放されることはなく、その後計画通りに返済を継続しないといけません。
約束通り完済しなければ、強制執行を受けて自宅や給料が差し押さえられてしまう可能性があります。
他方で、当事者のいずれかが最後まで納得できなかったときは調停が不成立となります。
その後債権者による取立が再開してしまいますので、別の債務整理手続を検討する必要があります。
当事務所が提供する基礎知識
-
債務整理にかかる費用...
借金の減額、支払い方法の交渉などを行う「債務整理」には費用がかかります。交渉や手続を弁護士に依頼するための弁護士費用、そして裁判所を利用するときは申立手数料などの支払いが必要です。 借金に困っている方にとって費用の把握は […]
-
通信販売の詐欺被害
通信販売は直接店頭に出向かなくても商品を購入できる便利なシステムですが、その反面で悪質商法や詐欺事案等のトラブルも多いです。よくある事例としては、通販サイトで購入した商品は到着したものの、明らかな偽物や故障があり、それを […]
-
国際ロマンス詐欺とは...
国際ロマンス詐欺とは、SNSのメッセージ機能等を使い、日本に来て友人が欲しいなどと言って近づき、親密な関係になったところで金銭を騙し取るといった手口の詐欺です。投資の話を持ち掛けられたときには、特に注意が必要です。何か月 […]
-
未公開株などの投資詐...
近年、未公開株などの投資詐欺が多く発生しています。具体的には、そのような未公開株が存在しないにもかかわらず、「市場に出回っていない未公開株がある」「購入すれば必ず儲かる」などと申し向けられ、そのような株しか存在しないにも […]
-
自己破産の手続きと流...
自己破産とは債務整理の一種で、債務の返済が困難になった人が裁判所に申立てを行い、承認を受けたらほとんどすべての債務を免除される手続きのことをいいます。 自己破産には、財産が全くない場合に適用される「同時廃止」と […]
-
副業詐欺でよくある手...
副業詐欺は、副業でお金を稼ぎたいと考えている方を騙し、不当にお金を支払わせる犯罪行為です。スマホが普及しSNSなどを使って誰とでもつながることができるようになった昨今においては、直接犯罪者と会わなくても被害を受けることが […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
Lawyer Daichi Sakuma
代表弁護士佐久間 大地
紛争は人と人との間で起こります。それは法人間の紛争であっても同じです。そして、人には感情があり、立場があります。 紛争解決、説得の1つのツールとして、法律という理屈を駆使することはもちろんですが、常に、人の感情、立場に配慮した業務を行うよう精進しております。
詐欺被害救済といえば「大地総合法律事務所」と認知していただけるよう、所員一同、プロフェッショナル集団として、常に研鑽を積んで参ります。
-
- 所属
-
第一東京弁護士会(登録番号55138)
-
- 経歴
-
新潟県新潟市生まれ
新潟県立新潟高等学校卒業
中央大学法学部政治学科卒業
中央大学法科大学院修了
司法研修所入所
都内法律事務所勤務
大地総合法律事務所を開業
Lawyer Minakoshi Ishin
弁護士南越 維心
法曹は法律のプロフェッショナルであると同時に、人助けのプロフェッショナルたるべきである、というのが私の信条です。
トラブルに巻き込まれ、辛い日々を送っている人々を一人でも多く救済できるよう、精進してまいります。
よろしくお願い申し上げます。
-
- 所属
-
第一東京弁護士会(登録番号63548)
-
- 経歴
-
大阪府出身
同志社大学法学部法律学科卒業
卒業後は貿易会社で通訳業(ベトナム語)などを行う
大阪市立大学法科大学院修了
大地総合法律事務所入所
Lawyer Miura Yuu
弁護士三浦 悠
相手方のいる法的紛争は先が予想しにくく、心情的にも不安や負担が大きくなりがちです。
法律のプロとして法的解決に尽力するのはもちろんのこと、少しでも心の不安や負担を軽くできるよう、一人の人として依頼者様に寄り添える法律家でありたいと思っております。
何卒宜しくお願い申し上げます。
-
- 所属
-
東京弁護士会(登録番号60457)
-
- 経歴
-
秋田県生まれ
中央大学法学部法律学科卒業
中央大学法科大学院修了
都内大手芸能事務所で企業内弁護士としての勤務を経て、大地総合法律事務所入所
Lawyer Sakamoto Ryosuke
弁護士坂本 亮介
弁護士へ依頼することは、一生に一度の出来事だという方も多いと思います。
だからこそ、あなたの思いにじっくりと耳を傾け、あなたと共に最善の解決策を考えていきます。
分からないこと、不安なこと、迷っていることなど、どんなに些細なことでも構いません。どうぞお話をお聞かせください。
長年続けた野球、格闘技を通じて鍛えたハートの強さ、粘り強さを活かして、あなたを全力でサポートいたします。
-
- 所属
-
第一東京弁護士会(登録番号63558)
-
- 経歴
-
福岡県糸島市生まれ
近畿大学法学部法律学科卒業
同志社大学法科大学院修了
都内大手法律事務所勤務を経て、大地総合法律事務所入所
Lawyer Yasuda Takashi
弁護士保多 崇志
「世のため人のための法律家」になるという 目標を胸に、毎日の弁護士業務に取り組んでおります。
大地総合が有する強い組織力の上に、私個人の真心を添えて 最良の法的サービスを提供いたします。
お困りごとについて、お気軽にご相談くださいませ。
-
- 所属
-
東京弁護士会(登録番号60303)
-
- 経歴
-
早稲田大学法学部卒業
成蹊大学法科大学院修了
法政大学法科大学院修了
司法試験予備試験合格
都内大手法律事務所勤務を経て、大地総合法律事務所入所
事務所概要
事務所名 | 弁護士法人大地総合法律事務所 |
---|---|
代表弁護士 | 佐久間 大地(さくま だいち) |
所在地 | 〒105-5117 東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービル南館17階 |
電話番号 | 0120-689-830 |
FAX | 03-6369-3055 |
受付時間 | 9:00~19:00 ※時間外対応可能です(要予約) |
定休日 | 土・日・祝 ※休日対応可能です(要予約) |
相談料 | 初回相談無料で承っております。 |
LINE公式アカウント |
当事務所ではLINEでの相談対応が可能です。(LINE ID:@440pwktq) お気軽に友だち登録して相談してください。 ■登録方法について |