任意整理から個人再生への切り替えもできる ~条件や手続き、注意点について解説~
「任意整理」は、裁判所を通さず、弁護士や司法書士が債権者と交渉して借金の減額や返済方法の見直しを行う手続きのことです。
一方、「個人再生」は裁判所を通して借金を大幅に減額し、原則3年で返済していくための手続きです。
任意整理から個人再生に切り替えることも不可能ではありませんが、個人再生を行うための条件は満たさないといけません。
この条件のこと、その他、切り替えに関してのメリットやデメリット、注意点などをまとめます。
手続きの途中で個人再生に切り替えることも可能
任意整理で債務の減額や返済方法の見直しを行った後でも、状況の変化や返済の困難さなどから、個人再生に切り替えることはできます。
任意整理の手続きが完了していても、また、返済中でも個人再生の申立てを行うことは可能です。
ただし、個人再生をするには安定した収入があることや、借金の総額が5,000万円以下であることなど、いくつかの条件を満たさないといけません。また、任意整理の費用に加えて個人再生の費用も発生します。
個人再生の認可条件
別の債務整理手続きからの切り替えなどとは関係なく、重要なのは「個人再生の認可条件を満たすこと」です。
具体的には、民事再生法の規定に従い、次の各条件をクリアすることが求められます。
- 継続・反復した収入があって再生計画に沿った弁済ができる
- 債務の総額が5,000万円以下である
- (小規模個人再生の場合)債権者から反対を受けて決議が否決されていない
- (給与所得者再生の場合)過去7年以内にも給与所得者再生の認可決定や免責決定を受けていない
切り替えに向けて動き出す前に、一度これらの条件についてチェックをしておくべきです。
弁護士にご自身の状況を伝えて判断してもらいましょう。
切り替えの方法
任意整理から個人再生に切り替える場合、次のような流れに沿って手続きを進めていくことになるでしょう。
- 弁護士への相談
(借金の状況、収入などを詳しく説明し、切り替えが可能かどうか、切り替えるメリットがあるかどうかを判断してもらう。) - 個人再生の申立て
(裁判所に個人再生の申立てを行う。そのために、前もって必要書類の作成や収集もしておく。) - 再生計画案の作成・提出
(今後どのように返済をしていくのかを示す再生計画案を作成し、裁判所に提出する。) - 再生計画の認可
(債権者から意見も聴取しつつ、再生計画案の内容を裁判所がチェックし、問題がなければ再生計画が認可され、切り替えが完了する。)
切り替えを検討するタイミング
切り替えのタイミングに決まりはありません。
そこで①任意整理の交渉中や、②任意整理が一度完了して返済を続けている過程でも、必要に応じて検討を進めます。
①に関しては、例えば「債権者との合意が難しいケース」や「想定より借金が多かったケース」などで切り替えを検討します。
②に関しては、例えば「再び返済が困難になってしまったケース」や「予期せぬ出費が発生したケース」などで切り替えを検討します。
個人再生に切り替えるメリット
個人再生への切り替えをすることで得られる一番のメリットは「返済額が大幅に減額できること」といえます。
任意整理では利息や遅延損害金のカットが中心であり、元本の大きな減額までは通常期待できません。
しかし個人再生だと元本を2割程度にまで圧縮できるケースもありますので、債務者の負担が大きく軽減されるのです。
また、任意整理は各債権者との個別交渉により進めるものですので、仮に1つの債務について負担が軽減できたとしても、多重債務に陥っているケースだとなかなか再起が難しいです。一方の個人再生ではすべての債権者を巻き込んで債務整理を進められます。
個人再生に切り替えるデメリット
前項で示した通り個人再生には多くのメリットがありますが、以下に挙げるデメリットも忘れはいけません。
- 手続きが複雑で時間がかかる
- 費用がかかる
- 誰でも閲覧可能な官報に掲載される
- 保証人に迷惑がかかる可能性がある
大きな効果が得られる反面、厳格な手続を要し、債務整理中の負担は任意整理に比べると重くなってしまうでしょう。
ただし弁護士に依頼をしておけば債務者の方自身が対応すべき作業はかなり少なくすることができます。
支払額が少なくなるとは限らない
任意整理から個人再生への切り替えも不可能ではありません。
ただ、「切り替えができるかどうか」だけに着目するのではなく、「個人再生に切り替えることで解決できるのか」という根本的な問題にも目を向ける必要があります。
基本的には個人再生を選択した方が負担は小さくなりますが、状況によってはこれからの支払額が変わらないこともあるのです。
例えば残債務が少ないケースなどではあまり切り替えのメリットが得られないこともあります。
そのため借金等の返済に困ったとき、すぐ「個人再生に切り替えよう」と舵を切るのではなく、まずは債務整理に強い弁護士に相談しましょう。そこで今後どのようなアクションを起こすのが最適なのか、アドバイスをもらってから行動を起こすのがおすすめです。
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弁護士紹介
Lawyer Daichi Sakuma
代表弁護士佐久間 大地
紛争は人と人との間で起こります。それは法人間の紛争であっても同じです。そして、人には感情があり、立場があります。 紛争解決、説得の1つのツールとして、法律という理屈を駆使することはもちろんですが、常に、人の感情、立場に配慮した業務を行うよう精進しております。
詐欺被害救済といえば「大地総合法律事務所」と認知していただけるよう、所員一同、プロフェッショナル集団として、常に研鑽を積んで参ります。
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- 所属
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第一東京弁護士会(登録番号55138)
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- 経歴
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新潟県新潟市生まれ
新潟県立新潟高等学校卒業
中央大学法学部政治学科卒業
中央大学法科大学院修了
司法研修所入所
都内法律事務所勤務
大地総合法律事務所を開業
Lawyer Minakoshi ishin
弁護士南越 維心
法曹は法律のプロフェッショナルであると同時に、人助けのプロフェッショナルたるべきである、というのが私の信条です。
トラブルに巻き込まれ、辛い日々を送っている人々を一人でも多く救済できるよう、精進してまいります。
よろしくお願い申し上げます。
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- 所属
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第一東京弁護士会(登録番号63548)
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- 経歴
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大阪府出身
同志社大学法学部法律学科卒業
卒業後は貿易会社で通訳業(ベトナム語)などを行う
大阪市立大学法科大学院修了
大地総合法律事務所入所
Lawyer Miura Yuu
弁護士三浦 悠
相手方のいる法的紛争は先が予想しにくく、心情的にも不安や負担が大きくなりがちです。
法律のプロとして法的解決に尽力するのはもちろんのこと、少しでも心の不安や負担を軽くできるよう、一人の人として依頼者様に寄り添える法律家でありたいと思っております。
何卒宜しくお願い申し上げます。
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- 所属
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東京弁護士会(登録番号60457)
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- 経歴
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秋田県生まれ
中央大学法学部法律学科卒業
中央大学法科大学院修了
都内大手芸能事務所で企業内弁護士としての勤務を経て、大地総合法律事務所入所
事務所概要
事務所名 | 弁護士法人大地総合法律事務所 |
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