任意整理後に滞納してしまった場合のリスクと対処法
任意整理を行って借金の返済負担を軽減することに成功はしたものの、予期しない収入減少や生活状況の変化によって、再び支払いが困難になってしまうケースもあります。任意整理後の滞納は、最初の借金滞納よりも深刻な結果を招く危険性がありますので、迅速かつ適切な対応が求められます。
任意整理後に滞納してしまうリスク
任意整理後に返済を滞納するとさまざまな不利益が生じます。これらのリスクは滞納期間や回数によってだんだんと深刻化していくため、早期の対応を心がけましょう。
期限の利益喪失によって一括請求を受ける
任意整理で作成される和解書には通常、「滞納が一定回数または一定金額に達した場合、期限の利益を喪失する」といった条項が含まれます。
「期限の利益」とは、分割払いで返済できる権利のことを指し、これを失うと残債務の全額を直ちに一括で支払わなければならなくなります。
何回の滞納で期限の利益を喪失するかについては、和解書の内容によって異なります。債権者によっては、1回の滞納でも期限の利益を喪失するという厳しい条件を設定することがありますので、一括請求のリスクについて考えるときは和解書の内容を確認することが重要です。
遅延損害金が膨らむ
支払いが遅れると遅延した日数分の遅延損害金が発生します。
この遅延損害金は、期限の利益を喪失した翌日から完済に至るまで年率で計算され、元の債務に加算されていきます。そして遅延損害金は通常の利息よりも高い割合で設定されるため、滞納期間が長くなるにつれ返済総額が大きく膨らんでしまうのです。
給与や預金の差し押さえ
一括請求に応じることができないと、債権者が法的手続きに移行する可能性が高くなります。
具体的には、裁判所に対して支払督促や訴訟を申し立て、債務名義を取得しようとします。債務名義が確定すると債務者の財産に対して強制執行を行うことが可能になりますので、給与や預金が差し押さえられてご自身が自由に処分できなくなってしまいます。
全財産をすべて取り上げられるわけではありませんが、生活がより困窮する可能性が高まるうえ、勤務先に借金問題が知られてしまうなどの問題も生じてきます。
滞納した場合の対処法
任意整理後の滞納への対応は、滞納期間によっても変わってきます。また、適切に対処するには現在の滞納状況を正確に把握して、残された時間内で最適な選択肢を選ぶことが重要です。
督促にすぐに応じる(初期段階)
まだ期限の利益を喪失する前段階、たとえば1回目の滞納にとどまっている場合は、比較的対処しやすい状況といえます。このときは不足分を支払うよう督促される程度で済むのが一般的です。
重要なのは、早急に滞納分を解消し、次回からの支払いに遅れないようにすることです。債権者への誠実な対応も大事で、数日程度の遅れであれば理解を示してもらえる場合もあるでしょう。
弁護士への相談(複数回の滞納がある場合)
2回以上の滞納をしてしまったなど、期限の利益を喪失する条件に達したときは一括請求を受ける危険性が高く、法的手続きに移行されるリスクも現実的なものとなります。
そのため優先して取るべき対応は「債務整理に強い弁護士への相談」となります。専門家を通じて債権者との交渉を再開し、再和解などの道を探ることが重要となります。
再和解による解決を図る
「再和解」とは、すでに任意整理を行った債権者と再度交渉を行って、新たな返済条件であらためて和解契約を結ぶことを意味します。この手段は、一時的な収入減少などが原因で滞納しているケースに有効な選択肢といえるでしょう。
なお、再和解でも月々の支払額を減額したり返済期間を延長したりするのが一般的です。
ただし、債権者にとっては「約束を守れなかった債務者」との印象があるため、初回の任意整理よりも厳しい条件を提示されるかもしれません。再和解を成功させるには、滞納の原因を丁寧に説明し、今後確実に返済できる根拠を示すことが大事です。収入証明書や家計収支表などの資料を準備し、現実的な返済計画を提案しなくてはなりません。
追加介入による負担減を測る
複数の債権者から借入がある場合で、任意整理をしていない債権者が残っているなら、「追加介入」という選択肢も考えられます。
これは、当初任意整理の対象としなかったほかの債権者についても任意整理を行うことで、全体の返済負担を軽減することを意味します。
たとえばX社・Y社・Z社からの借入があって、当初X社とのみ任意整理を行っていた場合、Y社とZ社についても任意整理を追加で行います。これによりY社・Z社への返済負担も軽減され、X社への返済を継続できる可能性を高められます。
ただし他社での滞納情報が共有されていることもあり、その場合だと追加介入は通常の任意整理より交渉が困難になるかもしれません。弁護士に相談し、効果的な対処法を検討しましょう。
別の債務整理手続きを検討する
再和解や追加介入でも解決が困難な場合は、任意整理以外の債務整理手続き、たとえば「個人再生」や「自己破産」といった手段も検討する必要があります。
これらの手続きは裁判所を通じて行われるため、任意整理よりも強力な効力を期待できます。個人再生においては大幅に債務を圧縮(通常は1/5程度)したうえで3~5年かけて分割返済することが認められ、住宅ローン特則を利用すればマイホームを維持しながら別の債務を整理することもできます。
※個人再生は常に認められるものではなく、安定した収入があるなど一定の要件を満たさないといけない。
自己破産では、最低限の財産を除いた財産をすべて処分する代わりに、ほぼすべての債務の返済義務が免除されます。デメリットもありますが債務をいったんリセットして、生活を再スタートさせることができるでしょう。
※自己破産も常に認められるものではなく、返済困難な状況に陥った背景によっては免責が認められないこともある。
これら法的整理の検討および手続きには厳格さが求められるため、個人再生や自己破産に実績がある弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所が提供する基礎知識
-
なりすましとは?目的...
「なりすまし」にはいくつかパターンがあります。他人と混同させるようなSNSアカウントを作り他人のふりをして発信することもあれば、電話をかけて詐欺行為をしてくることもあります。本人のアカウントを乗っ取ってなりすますケースも […]
-
自己破産の手続きと流...
自己破産とは債務整理の一種で、債務の返済が困難になった人が裁判所に申立てを行い、承認を受けたらほとんどすべての債務を免除される手続きのことをいいます。 自己破産には、財産が全くない場合に適用される「同時廃止」と […]
-
インターネット利用時...
インターネットの利用は生活に欠かせないものとなりましたが、その便利さとは裏腹に消費者被害のリスクも潜んでいます。個人情報の漏洩、パスワードの管理不備、フィッシング詐欺など、さまざまな要因からトラブルが起こり得ます。そこで […]
-
クレジットカードの不...
キャッシュレス決済を利用する方が増えており、現金に触れる機会が減った方も多いのではないでしょうか。クレジットカードは現金を出さずにショッピングができるとても便利なアイテムですが、不正利用には十分注意しないといけません。 […]
-
振り込め詐欺
近年、息子などの親族を装い、現金を振り込ませる振り込め詐欺の被害に遭う高齢者が増加しています。さらに、近年においては振込だけでなく、自宅にいわゆる受け子が現金を取りに行くケースや、現金ではなくキャッシュカードを交付させる […]
-
マルチ商法とネズミ講...
怪しいビジネスの代表例として挙げられるのがネズミ講やマルチ商法です。この両者は法律上明確に区別がされているものとなっています。しかし一般の方にはその違いはあまり知られていません。 当記事では、ネズミ講とマルチ商法の違いや […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介

Lawyer Daichi Sakuma
代表弁護士佐久間 大地
紛争は人と人との間で起こります。それは法人間の紛争であっても同じです。そして、人には感情があり、立場があります。 紛争解決、説得の1つのツールとして、法律という理屈を駆使することはもちろんですが、常に、人の感情、立場に配慮した業務を行うよう精進しております。
詐欺被害救済といえば「大地総合法律事務所」と認知していただけるよう、所員一同、プロフェッショナル集団として、常に研鑽を積んで参ります。
-
- 所属
-
第一東京弁護士会(登録番号55138)
-
- 経歴
-
新潟県新潟市生まれ
新潟県立新潟高等学校卒業
中央大学法学部政治学科卒業
中央大学法科大学院修了
司法研修所入所
都内法律事務所勤務
大地総合法律事務所を開業

Lawyer Miura Yuu
弁護士三浦 悠
相手方のいる法的紛争は先が予想しにくく、心情的にも不安や負担が大きくなりがちです。
法律のプロとして法的解決に尽力するのはもちろんのこと、少しでも心の不安や負担を軽くできるよう、一人の人として依頼者様に寄り添える法律家でありたいと思っております。
何卒宜しくお願い申し上げます。
-
- 所属
-
東京弁護士会(登録番号60457)
-
- 経歴
-
秋田県生まれ
中央大学法学部法律学科卒業
中央大学法科大学院修了
都内大手芸能事務所で企業内弁護士としての勤務を経て、大地総合法律事務所入所


Lawyer Sakamoto Ryosuke
弁護士坂本 亮介
弁護士へ依頼することは、一生に一度の出来事だという方も多いと思います。
だからこそ、あなたの思いにじっくりと耳を傾け、あなたと共に最善の解決策を考えていきます。
分からないこと、不安なこと、迷っていることなど、どんなに些細なことでも構いません。どうぞお話をお聞かせください。
長年続けた野球、格闘技を通じて鍛えたハートの強さ、粘り強さを活かして、あなたを全力でサポートいたします。
-
- 所属
-
第一東京弁護士会(登録番号63558)
-
- 経歴
-
福岡県糸島市生まれ
近畿大学法学部法律学科卒業
同志社大学法科大学院修了
都内大手法律事務所勤務を経て、大地総合法律事務所入所


Lawyer Yoshino Satoshi
弁護士吉野 智
人が紛争、トラブルに巻き込まれれば、これまで送ってきたその方の日常生活にかげりが出てしまいます。
弁護士はそのような紛争、トラブルに巻きこまれた方の日常生活を取り戻すことのできる仕事だと思っております。
私は、弁護士として、一人でも多くの方の日常生活を取り戻せるように、日々尽力してまいります。そして、ご依頼者様と共に紛争を解決していく弁護士でありたいと思っております。
何卒よろしくお願い申し上げます。
-
- 所属
-
第一東京弁護士会(登録番号66842)
-
- 経歴
-
神奈川県生まれ
東北大学法学部卒業
東北大学法科大学院修了
大地総合法律事務所入所

事務所概要
事務所名 | 弁護士法人大地総合法律事務所 |
---|---|
代表弁護士 | 佐久間 大地(さくま だいち) |
所在地 | 〒105-0012 東京都港区芝大門2-9-16 Daiwa芝大門ビル6階・7階 |
電話番号 | 0120-689-830 |
FAX | 03-6369-3055 |
受付時間 | 9:00~19:00 ※時間外対応可能です(要予約) |
定休日 | 土・日・祝 ※休日対応可能です(要予約) |
相談料 | 初回相談無料で承っております。 |
LINE公式アカウント |
当事務所ではLINEでの相談対応が可能です。(LINE ID:@440pwktq) お気軽に友だち登録して相談してください。 ■登録方法について |
リンク | 弁護士法人大地総合法律事務所 |